日米開戦、スターリン工作説!
アメリカでは「新説」が出始めている インテリジェンス・ヒストリー②
私は『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(前掲)などの著作の中で、アメリカは一枚岩ではない、アメリカは多様な価値観が共存する国であり、歴史観も多様に存在すると述べてきました。
学校教育では「日本は侵略戦争を行った悪い国」と教えられているので、なんとなくそういう歴史観を持っている人が多いのは事実ですが、一次史料をきちんと読み込んで研究している人びとの間では、全く違う歴史観が共有されています。
日本国内では、東京裁判史観がアメリカにとって歴史認識の前提であり、もし日本がこれに逆らうとアメリカの反発を買ってたたかれるのではないかと思う人が多いようです。
たとえば、二〇一三年十二月二十六日に安倍晋三内閣総理大臣が靖国神社に参拝したことに対して、アメリカ政府が大使館のホームページに「失望している(disappointed)」と声明を発表したときは、日本のメディアは全般的に「アメリカはやはり日本の総理大臣や閣僚の靖国参拝に反対なのだ」という論調でした。
しかし、「アメリカは」と一口に言いますが、そのアメリカとはいったい誰のことを指しているのかが問題です。
バラック・オバマ民主党政権は、確かに安倍総理の靖国参拝に反対でした。ですが、それはオバマ政権を支えていたアメリカのサヨク・リベラル派が靖国参拝に反対だからです。
保守派の考えは違います。
また、アメリカ太平洋軍のように現実に中国共産党政府の脅威と常に対峙している人びとの考えも、リベラル派とは全く違います。
保守派やアメリカ太平洋軍はむしろ、日本の総理大臣が中国の批判に屈して参拝を取りやめることのほうを批判しているのです。
しかもアメリカの保守派の中で日米戦争についてある程度学んでいる人は、日米開戦の責任が全面的に日本にあったとする東京裁判史観に対して否定的です。
(『日本は誰と戦ったのか』より抜粋)
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